睡眠時間だけではわからない?睡眠の質を見直す方法|薬剤師が解説
「毎日それなりに寝ているのに、朝からすっきりしない」
「睡眠時間は足りているはずなのに、日中に眠くなる」

睡眠時間は取れてると思うんだけどな…
健康のためには、十分な睡眠時間を確保することが大切ですよね。

でも実は、睡眠時間だけで、睡眠が十分にとれているかどうかを、判断できるわけではないんですよ!
同じ7時間眠っていても、朝すっきり起きられる人もいれば、疲れが残っている人もいます。

では、自分の睡眠の状態を知るには、何に注目すればよいのでしょうか。

この記事では、薬剤師の視点から、睡眠時間だけではわからない睡眠の状態や、日常生活でできる振り返り方、睡眠データを活用する際の注意点を解説します。
睡眠時間が長ければ、睡眠の質もよい?

まず知っておきたいのは、睡眠の「量」と「質」は、関連しているものの同じではないということです。
睡眠の量は、主に眠っている時間を指します。
一方、睡眠の質を考えるときには、寝つきや夜中に目が覚める回数、朝起きたときの休養感、日中の眠気なども関係します。
例えば、次のような2人を想像してみてください。
- Aさん:7時間眠り、朝は比較的すっきり起きられる
- Bさん:7時間眠っているものの、夜中に何度も目が覚め、日中も眠気が強い
睡眠時間は同じでも、本人が感じる休養の程度は異なります。

もちろん、朝の気分だけで睡眠の状態をすべて判断できるわけではありません。それでも、睡眠時間とあわせて、眠ったあとの体調を振り返ることは大切です。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、十分な睡眠時間の確保に加え、睡眠によって休養がとれているという感覚、いわゆる「睡眠休養感」が重視されています。

つまり、睡眠を見直すときは、何時間眠ったかだけでなく、眠ったことで、心身が休まったと感じられるかにも目を向けないと、ですね。
睡眠の質を見直すための5つのチェックポイント

自分の睡眠状態を振り返るとき、具体的に何を確認すればよいのでしょう。
ここでは、日常生活で意識したい5つのポイントを紹介します。
1.朝、起きたときに休めたと感じるか

最初に確認したいのが、朝起きたときの感覚です。
目覚めたときに比較的すっきりしているか、それとも、十分に寝たはずなのに疲れが残っているか。
こうした感覚を振り返ってみましょう。
ただし、朝の体調は睡眠だけで決まるものではありません。
前日の活動量、ストレス、体調、飲酒など、さまざまな要因が影響します。

一日だけで判断せず、数日から数週間ほどの傾向を確認するのがおすすめです。
2.寝つきや夜中の目覚めに問題がないか
布団に入ってからなかなか眠れない、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めてしまう。

このような状態が続いていないかも、振り返ってみましょう。
ただし、夜中に一度も目が覚めないことが、必ずしも理想というわけではありません。短時間の覚醒は誰にでも起こり得るのです。

大切なのは、目覚める回数だけにこだわるのではなく、眠りにくさが続いているか、翌日の生活に支障が出ているかという点ですね。
3.日中に強い眠気や集中力の低下がないか

日中の状態も、睡眠を考えるうえで重要な手がかりになります。
例えば、次のようなことはありませんか?
- 会議や授業中に強い眠気を感じる
- 集中力が続かない
- 仕事や家事の効率が落ちている
- 休日に長時間眠らないと過ごせない
こうした状態が続く場合、睡眠時間が不足している可能性があります。
また、睡眠の途中で何度も目が覚めていたり、睡眠障害が関係していたりすることもあります。

日中の眠気が強いときは、睡眠時間だけで原因を決めつけず、生活習慣や体調も含めて振り返ってみましょう!
4.生活リズムが大きく乱れていないか
睡眠は、夜だけの問題ではありません。

起床時間、朝の光、日中の活動、食事、カフェインやアルコールの摂取など、日々の生活習慣も睡眠に関係します。
例えば、平日は睡眠時間が短く、休日に大幅に寝坊する生活が続いている場合、平日の睡眠が不足している可能性があります。
また、夕方以降のカフェインや就寝前の飲酒が、眠りに影響していることもあります。

睡眠に悩んでいるときは、寝る直前の行動だけでなく、一日全体の過ごし方を振り返ることも大切ですね。
5.睡眠の悩みが長く続いていないか
生活習慣を見直しても、眠れない、疲れが取れない、日中の眠気が強いといった状態が続くことがあります。

その場合は、単なる生活リズムの乱れだけではなく、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害や、ほかの病気が関係している可能性もあります。
大きないびきや睡眠中の呼吸停止を指摘されている場合、十分に寝ても強い眠気がある場合などは、医療機関への相談を検討しましょう。

睡眠の状態を把握することは大切ですが、自己チェックだけですべての原因がわかるわけではありません。
睡眠の質を高めるために、何から始める?

睡眠の状態を見直したいと思っても、一度に生活習慣を変える必要はありません。
まずは、次のような小さな取り組みから始めてみましょう。
- 起床時刻をできるだけ一定にする
- 朝にカーテンを開けて光を浴びる
- 夕方以降のカフェイン摂取を見直す
- 寝る前は気持ちが落ち着く時間をつくる
- 睡眠日誌をつけて、自分の傾向を振り返る
すべてを一度に実践するよりも、取り組みやすいものを一つ選び、無理なく続けることをおすすめします。
具体的な生活習慣を知りたい方は、次の記事も参考にしてください。
「睡眠の質を高めるためにできる7つの習慣|薬剤師が考える睡眠セルフケア」
今日からできる!睡眠状態の簡単な記録方法
睡眠を見直すために、最初から特別な機器を購入する必要はありません。

まずは、手帳やスマートフォンのメモを使って、簡単な記録を始めてみましょう。
例えば、次のような項目を記録します。
| 記録する項目 | 記録の例 |
|---|---|
| 就寝・起床時間 | 23時30分に就寝、6時30分に起床 |
| 朝の休養感 | すっきり、普通、疲れが残る |
| 日中の眠気 | なし、少しある、強い |
| カフェイン | 15時にコーヒーを飲んだ |
| 飲酒 | 夕食時に飲酒した |
| 生活習慣 | 散歩をした、入浴したなど |
記録する期間は、まず1〜2週間程度を目安にしてみるとよいでしょう。

細かく記録しすぎると負担になるため、続けられる範囲で十分です。
記録を振り返ることで、「夕方にコーヒーを飲んだ日は寝つきにくい気がする」「運動した日は朝の調子がよい」といった、自分なりの傾向に気づくことがあります。
もちろん、記録だけで因果関係を証明できるわけではありません。

生活と体調の関係を考える、良いきっかけになりそうですね!

大切なのは、毎日の数値に一喜一憂することではなく、自分の状態を理解し、改善できそうな習慣を見つけることです!
睡眠アプリやスマートリングは役立つ?

最近は、スマートフォンのアプリやスマートウォッチ、スマートリングなどを使って、睡眠を記録する方法もあります。
機器によって異なりますが、睡眠時間、睡眠中の動き、心拍数などのデータを記録し、睡眠の状態を振り返るために活用できます。

毎日手書きで記録するのが苦手な方にとっては、便利な選択肢になるかもしれませんね。
一方で、利用する前に知っておきたい注意点もあります。
睡眠データは、実際の睡眠を完全に測定できるわけではない
市販の睡眠トラッカーは、主に体の動きや心拍数などの情報をもとに、睡眠状態を推定します。

そのため、表示される睡眠時間や睡眠段階などが、医療機関で行う睡眠検査の結果と完全に一致するとは限りません。
特に「深い睡眠が何分だったか」といった数値は、測定方法や機器によって差が生じる可能性があります。

数値が細かく表示されるからといって、そのすべてが正確に測定されているとは限らないんですね。
数値だけで健康状態を判断しない

例えば、ある朝に睡眠スコアが低かったとしても、それだけで「昨夜は悪い睡眠だった」と断定することはできません。
反対に、スコアが高ければ、必ず体調がよいとも限りません。
睡眠データは、自分の生活を振り返るための参考情報として使うのがよいでしょう。

数値とあわせて、朝の休養感や日中の眠気、疲労感なども確認することが大切なんですね。
また、睡眠中の呼吸や酸素飽和度などを測定できる機器であっても、医療機器として認められた用途や性能は製品によって異なります。

睡眠時無呼吸症候群などの病気を自己判断で診断するために使うことは避けましょう。
睡眠の質を見直すときに大切にしたいこと
睡眠の状態を知ろうとすると、睡眠時間やスコアなどの数値が気になるかもしれません。

しかし、数値を改善すること自体が目的になってしまうと、かえって睡眠がストレスになることもあります。
例えば、睡眠スコアが低いことを気にして、翌日の体調まで悪く感じてしまう。そんなことが続くなら、記録との付き合い方を見直してもよいでしょう。

健康管理のための道具は、生活をよりよくするために使うものですもんね。数字に振り回されてはいけませんね。
まずは、十分な睡眠時間を確保することを基本に、生活習慣を整え、朝の休養感や日中の体調を振り返る。

そのうえで、必要に応じて睡眠アプリやウェアラブル機器を活用する。
こうした順番で考えると、無理なく睡眠と向き合いやすくなります。
まとめ|睡眠時間だけでなく、自分の体調にも目を向けよう
睡眠の状態を見直すときは、何時間眠ったかだけでなく、眠ったあとの休養感や日中の眠気、生活習慣などにも注目することが大切です。
今回紹介したポイントを振り返ってみましょう。
- 朝、休めたと感じるか
- 寝つきや夜中の目覚めに問題がないか
- 日中に強い眠気や集中力の低下がないか
- 生活リズムが大きく乱れていないか
- 睡眠の悩みが長く続いていないか
まずは1〜2週間、自分の睡眠と体調を簡単に記録することから始めてみてください。
睡眠アプリやスマートリングなども、使い方によっては、自分の睡眠を振り返るための手助けになります。

ただし、数値だけで判断せず、実際の体調とあわせて考えることが重要です。
健康のために必要なのは、完璧な睡眠スコアを目指すことではありません。

自分の体の状態を知り、生活習慣を見直し、必要なときには専門家に相談すること。ですね!

そうです!その積み重ねが、自分に合った睡眠を考える第一歩になりますので。
次の記事では、スマートリングなどのウェアラブル機器で、健康管理に何ができるのか、そして何がわからないのかを詳しく見ていきます。