睡眠・運動・食事、健康のために最初に変えるべき習慣は?薬剤師がすすめる朝の散歩

「健康のために何か始めたいけれど、何から始めよう?」
そんなふうに思ったことはありませんか?
睡眠時間を確保する。運動する。食生活を見直す。サプリメントを取り入れる……。健康にいいとされることは、たくさんあります。

どれも大切だからこそ、全部やろうとすると大変です。
では、最初の一歩として何を始めるのがよいのでしょうか?

今回、私が最初の一歩としておすすめしたいのは、朝の光を浴びながら散歩することです。
もちろん、朝の散歩だけで健康のすべてが解決するわけではありません。
それでも、朝の散歩には、身体を動かすだけでなく、生活リズムや睡眠習慣を見直すきっかけになる、などという良さもあります。

今回は、なぜ私が朝の散歩をおすすめするのかという理由と、健康習慣を無理なく始めるための考え方をお伝えします!
1. 健康のために、すべてを一度に変える必要はない
健康づくりを考えるとき、睡眠・運動・食事の3つは欠かせない要素です。
十分な睡眠をとり、身体を動かし、バランスのよい食事を心がける。

こうした生活習慣は、健康を維持するための土台になりますもんね。

ただ、現実には、仕事や家事、子育てなどで忙しく、すべてを理想どおりに実践するのは難しいものです。
- 「毎日運動しよう」
- 「食事を完璧に管理しよう」
- 「睡眠時間もきちんと確保しよう」
そう考えるほど、やるべきことが増えてしまい、それに追われてしまう場合もあります。

そこで大切にしたいのが、最初から全部を変えようとせず、続けられそうなことを一つ選ぶという考え方です。
健康づくりに、誰にでも当てはまる唯一の正解があるわけではありません。

年齢や体調、生活環境によって、優先したいことが変わりますもんね。
睡眠不足が続いている人なら、まず睡眠を見直すことが大切でしょう。
食事が十分にとれていない人なら、栄養面を整えることが優先かもしれません。

そのうえで、私が多くの人にとって検討しやすい最初の一歩としておすすめしたいのが、「朝の散歩」なんです。
2. 私が朝の散歩をおすすめする4つの理由
理由1:朝の光を浴びることで、生活リズムを整えるきっかけになる
私たちの身体には、睡眠や覚醒などのリズムを調整する体内時計があります。

この体内時計を整えるうえで、光は重要な役割を担っています。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、起床後に朝の光を浴びることが、体内時計の調整や睡眠・覚醒リズムを整えることにつながると説明されています。
朝、カーテンを開けて光を取り入れる。可能であれば、外に出て散歩する。

こうした習慣は、一日の始まりを意識するきっかけになります。
夜になってもなかなか眠くならない、朝すっきり起きられない。
そんな悩みがある人にとっても、起床時刻や光を浴びる習慣を見直すことは、睡眠環境を整える取り組みの一つです。

ただし、朝の光を浴びれば、必ず睡眠の悩みが解決するわけではありません。
睡眠の問題には、ストレスや生活習慣、病気など、さまざまな要因が関係することがあるからです。

なのでまずは、一番簡単にできる、「朝の光」を生活に取り入れることから考えてみましょう!
理由2:歩くことで、無理なく身体を動かせる

健康のために運動しようと思っても、いきなりジムに通ったり、きつい筋トレを始めたりするのは、少しハードルが高いです。

その点、散歩は特別な道具がなくても始めやすい身体活動です。
歩くときには、脚を中心にさまざまな筋肉を使います。
日常的に身体を動かす機会を増やすことは、健康づくりにおいて大切です。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、個人差を踏まえて、可能なものから身体活動を増やしていくことが勧められています。

ここで意識したいのは、最初から長い距離を歩いたり、速いペースで歩いたりする必要はありません。
普段あまり身体を動かしていないなら、まずは家の周りを少し歩いてみる。
それだけでも、今までより身体を動かす機会をつくれます。

もちろん、散歩だけで筋力トレーニングのすべてを代替できるわけではありません。
筋力を維持・向上させるためには、体力や身体の状態に応じて筋トレなどを組み合わせることも大切です。

「運動しなければ」と身構えるより、まずは手軽にできる、「歩くこと」から始めてみるのはいいですね!
理由3:朝起きる習慣が、夜の過ごし方を見直すきっかけになる

朝の散歩を習慣にしようとすると、自然と起床時刻を意識するようになりますね。

そうです!朝に起きる時間をある程度安定させようとすれば、夜は何時ごろに寝るのがよいか、考えるきっかけにもなります!
たとえば、朝6時台に起きて散歩をしたいなら、必要な睡眠時間を確保できるよう、夜の過ごし方を調整することが大切です。
寝る直前までスマートフォンを見てしまう。つい夜更かしをしてしまう。そんな生活を見直すきっかけになるかもしれません。

ただし、ここで注意したいのは、早起きをするために睡眠時間を削ってはいけないということです。

睡眠不足のまま無理に早起きをしても、健康づくりとしては本末転倒ですもんね。
朝の散歩を取り入れるなら、起床時刻だけでなく、就寝時刻や睡眠の状態も一緒に考えていきましょう。

朝の習慣をきっかけに、夜の習慣も整えていく。これが、朝の散歩をおすすめする理由の一つです。
理由4:日光・栄養・運動から、骨の健康を考えるきっかけになる

骨の健康を考えるうえでは、カルシウムだけでなく、ビタミンDも重要です。
ビタミンDは、食事から摂取できるほか、皮膚が紫外線を受けることで体内でもつくられます。
また、ビタミンDはカルシウムの吸収などに関わり、骨の健康を支えています。

散歩で外に出ることは、日光を浴びる機会にもなりますもんね。

ただし、日光を浴びれば浴びるほどよいというわけではありません。
紫外線の影響にも配慮が必要ですし、必要なビタミンDの量や日光への適切な曝露時間は、季節や地域、肌の状態などによって異なります。
また、骨の健康は日光だけで決まるものではありません。食事からの栄養摂取や身体活動なども関係します。

それらを差し引いても、散歩で日の光を浴びることは、健康にとってのメリットは大きいと考えます。

朝の散歩を、骨の健康を含めた、生活習慣全体を見直すきっかけにするのも良いですね。
3. 朝の散歩は、何分くらいから始めればいい?
ここまで読んで、「それなら自分も始めてみようかな」と思った方もいるかもしれません。

どのくらい歩けばよいのでしょうか?
私がおすすめしたいのは、最初から頑張りすぎないことです。
たとえば、次のような始め方があります。
- まずは5〜10分程度から。 家の周りを少し歩くところから始めてみましょう。
- 自分の生活に合った時間に。 朝6時台に起きることが難しければ、無理に合わせる必要はありません。
- 気持ちよく歩けるペースで。 最初から距離や速さを競う必要はありません。
- 睡眠時間を削らない。 早起きが負担になるなら、起床時刻や散歩の時間を調整しましょう。
- 体調や天候に合わせる。 暑さや寒さが厳しい日、体調がすぐれない日は無理をしないことも大切です。

5〜10分という時間は、健康効果を保証する基準ではなく、習慣を始めるための一つの目安です。
厚生労働省のガイドでも、身体活動は個人差に応じて、可能なものから取り組むことが勧められています。
最初から完璧な散歩を目指す必要はありません。

まずは外に出て、少し歩いてみる。これができたら十分かもですね。
4. 健康のために歩くのではなく、歩く時間そのものを楽しむ
ここで、私が特に大切にしたい考え方があります。

それは、「健康のために良いという理由だけで、義務にしない」ということです。
健康にいいから運動する。健康に悪いから食べるのを我慢する。睡眠の点数が悪いから不安になる。
もちろん、健康を意識することは大切です。

しかし、健康を気にするあまり、毎日の生活が窮屈になってしまったら、少しもったいない気がします。
朝の散歩も同じです。
「毎日必ず30分歩かなければならない」と考えると、散歩が義務になってしまうかもしれません。
それよりも、朝の空気を感じる。季節の変化に気づく。いつもと違う道を歩いてみる。少しだけ頭を空っぽにする。

そんな時間として楽しめたら、散歩を続けることへの気持ちも変わるのではないでしょうか。
健康にいいことを続けるために、必ずしも強い意志や我慢が必要とは限りません。

自分が心地よいと感じることを見つけるのも、一つの方法ですもんね。

そうです!楽しめるかどうかには個人差がありますから。
散歩が苦手なら、好きな音楽を聴きながら身体を動かしたり、買い物の際に少し歩く距離を増やしたりする方法でもよいでしょう。

大切なのは、朝の散歩という方法にこだわることではなく、自分に合った形で身体を動かす機会をつくることです。
5. 朝の散歩だけで、健康づくりは十分なの?
ここまで朝の散歩をおすすめしてきましたが、もちろん、散歩だけですべての健康問題を解決できるわけではありません。

健康を支えるのは、睡眠・運動・食事など、さまざまな要素です。
散歩を始めたからといって、食事のバランスを気にしなくてよいわけではありませんし、睡眠不足を放置してよいわけでもありません。
また、持病や身体の痛みがある方は、状態に合った運動方法を選ぶ必要があります。
体調不良が続く場合は、生活習慣だけで解決しようとせず、医療機関に相談することも大切です。

では、なぜ朝の散歩を最初の一歩としておすすめするのでしょうか?

それは、散歩をきっかけに、ほかの生活習慣にも目を向けられるからです!
朝に身体を動かす。
↓
起床時刻を意識する。
↓
夜の過ごし方を見直す。
↓
日々の体調に目を向ける。
一つの習慣から、少しずつ生活全体を整えていく。

私は、こうした始め方も、健康づくりの一つの方法だと考えています。
まとめ:健康のために、まずは明日の朝、少しだけ歩いてみる
睡眠・運動・食事。健康を考えるうえで、どれも大切な要素です。
だからこそ、何から始めればよいか迷ってしまうこともあるでしょう。

私がおすすめしたいのは、朝の光を浴びながら散歩することです。
朝の光は生活リズムを整える手がかりになり、歩くことは身体活動を増やす機会になります。
さらに、起床時刻を意識することで、夜の過ごし方を見直すきっかけにもなります。
ただし、全員が朝6時台に起きる必要はありません。早起きのために睡眠時間を削る必要もありません。
まずは、自分の生活に合った時間に、少しだけ歩いてみる。
そして、健康のために頑張るだけでなく、歩く時間そのものも楽しんでみる。

健康は、人生の目的そのものではなく、人生を楽しむための土台の一つです。
健康のために生活を窮屈にするのではなく、毎日をより心地よく過ごすために、できることから始めてみませんか?
「明日の朝、少しだけ外を歩いてみる。」

そんな小さな一歩が、これからの生活を見直すきっかけになるかもしれません。そして何より、「早朝の朝日を浴びること」、これは何よりも気持ち良いですから!ぜひあなたも取り入れて欲しいと思います。
睡眠の質を高めるためにできる7つの習慣|薬剤師が考える睡眠セルフケア
参考情報
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- 厚生労働省「身体活動・運動の推進/健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「アクティブガイド2023」